お位牌の裏面には「俗名」「没年月日」とともに年齢が刻まれますが、「行年〇歳」と刻むべきか、「享年〇歳」と刻むべきかで悩まれる方は少なくありません。

結論から言うと、現代の仏事においては「どちらを使っても間違いではない」とされています。
1. 「行年」と「享年」の基本的な意味と違い
| 項目 | 行年(ぎょうねん) | 享年(きょうねん) |
| 主な意味 | この世に生を受けて修行(仏道・人生)を積んできた年月 | 天から授かった(享けた)寿命・年数 |
| 年齢の数え方 | 主に「満年齢」とされることが多い | 主に「数え年」とされることが多い |
| 宗教的背景 | 仏教的な「行(修行・生きること)」に由来 | 神道やキリスト教など宗教を超えた命のあり方をあらわす |
| 過去の傾向 | 古い位牌や仏教文献で非常に多く用いられてきた | 新聞や比較的新しい位牌・現代の表記で多く用いられる |
※現代の感覚として「享年(天から享けた年)」は天寿を全うされた方には適している一方、若くして亡くなられた方には「享年」と刻むことに抵抗を感じるケースもあり、そうした場合は「行年」が選ばれることもあります。
2. 「満年齢」と「数え年」の計算方法
昔のお位牌はすべて「数え年」で表記されていましたが、現代では「満年齢」で表記するケースが増えています。
数え年とは?
- 母親の胎内に命が宿った瞬間を起点とし、生まれた時点で「1歳」と数えます。
- 誕生日ではなく、元旦(1月1日)を迎えるごとに全員が一斉に1歳年をとるという数え方です。
年齢計算の具体例(昭和20年6月1日生まれの場合)
- 【例1】誕生日前に亡くなった場合(令和5年5月20日没)
- 満年齢:77歳
- 数え年:79歳(満年齢 + 2歳)
- 【例2】誕生日後に亡くなった場合(令和5年6月2日没)
- 満年齢:78歳
- 数え年:79歳(満年齢 + 1歳)
1950年代以降、西洋文化の導入により誕生日基準の「満年齢」が定着しましたが、伝統的なお仏壇やお位牌の世界では現在も数え年が一部残っています。

3. 新しくお位牌を造るときの判断基準
「どちらでも良い」と言われても迷ってしまう場合は、以下の手順で決定するのがおすすめです。
① ご先祖様のお位牌を確認する(最優先)
ご自宅にある仏壇やご先祖様のお位牌の表記を確認してください。
- 「行年」と書かれている場合 ⇒ 同じように「行年」で揃える
- 「享年」と書かれている場合 ⇒ 同じように「享年」で揃える
- 「数え年」か「満年齢」か ⇒ ご先祖様の年齢の数え方に合わせる
先祖のお位牌と新しく造るお位牌で「行年・数え年」と「享年・満年齢」が混ざってしまうと、統一感が損なわれてしまいます。

② 新しく新仏(ご先祖の位牌がない)をお迎えする場合
- 推奨:ご本家やお寺の慣習に合わせ、「行年・数え年」で作成する(※今後10~20年程度は伝統的な形を踏襲するのが無難とされています)。
- 今後の見通し:将来的に数え年という概念自体が薄れていくため、いずれは社会全体で「享年・満年齢」に統一されていくと考えられます。
4. 年齢の後の文字は「歳」と「才」どちらが良い?
位牌に文字を刻む際、「〇歳」と「〇才」のどちらを使うべきかもよくある質問です。
- 「歳」をおすすめする理由
- 歳:「歳月」「歳末」のように「年・時間の経過」を表します。位牌としての格式や重々しさ、敬意を表す意味でも「歳」を使用するのが適切です。
- 「才」の由来
- 才:「才能」「天才」のように本来は生まれ持った能力を表す言葉です。「歳」の画数が多く書きづらいことから略字として使われるようになりました。
新聞等では「享年〇〇」として「歳・才」自体をつけないケースもありますが、お位牌に刻む場合は尊敬と丁寧さを込めて「歳」と表記するのが最適です。

5. まとめ(まとめ表)
- 表記の選択:先祖代々の位牌の表記(行年/享年、数え年/満年齢)に揃えるのが基本。
- 迷った場合:本家やお寺の指示、伝統にならって「行年・数え年」を選択する。
- 文字の表記:年齢の後には格式のある「歳」を使用する。


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