お位牌には、行年?享年?どちらが良いのでしょうか?
お位牌の前には、戒名が刻銘されます。そして、裏面には、「俗名・没年月日・行年〇歳」と刻まれるのが通常です
ここではて?
行年(ぎょうねん)と刻めばいいのでしょうか?享年(きょうねん)と刻めばいいのでしょうか?
行年とは、この世に生を受けて、修行してきた年月をあらわします。その為、満年齢であらわすのが正しい?
享年とは、天から享けた年齢なので、お腹の中に托生した瞬間からの年月をあらわすので「数え年」であらわすのが正しい?
結論からお話しすると
行年でも享年でもどちらでも構いません。
数え年とは何ですか?
昔のお位牌を見ていきますと、すべて数え年で表記されています
数え年とは、お腹に宿り、この世に誕生した瞬間から1歳と数えます。
そして、お正月が来ると、みんなが年を取り、2歳となるのです。
ですから、我々が考えている誕生日パーティーというものはございません。
もし、誕生日が 昭和20年6月1日だと仮定します。
そして、死亡年月日が、令和5年5月20日であれば、満年齢は77歳 数え年は79歳となり
死亡年月日が令和5年6月2日であれば、満年齢は、78歳 数え年は79歳となります。
ご自分の誕生日前に亡くなっていれば、満年齢より2歳増え、誕生日の後に亡くなれば、1歳増えるのです
1950年ごろから、西洋の考え方が入ってきて、年の数え方の統一がされるようになりました。
それが、現在の満年齢で表記するのが当たり前になってきたのです。
過去の文献や位牌を調べてみると・・・
先祖の位牌や古い位牌 文献などを調べてみるとほとんどが「行年」で記されています。
やはり、仏教的な修行してきた「行」を使っているようです。
比較的新しい位牌には「享年」と記されているようです。
天から享けるという考え方は、神道やキリスト教を含めて宗教を超えた存在をあらわしているのではないでしょうか?
これは、新聞などでの表記の統一がなされてきて、享年〇〇 として歳や才は使わないのが一般的となりました
最初にお話ししました、享年は、天から享けた年だとして数え年だという考え方ですが
天寿を全うされた方にはいいのでしょうが、若くして事故や事件で亡くなった方に、享年は何だかかわいそうな気がします。
いずれにしても、昔の日本人は、すべて数え年を使っていましたので、行年は満年齢で享年は数え年という考え方はありませんでした
時代と共に、西洋の文化が入り、暦やカレンダー 誕生日パーティなどが取り入れられ、満年齢が当たり前となってきたと推測します
あと30年もすれば、数え年という考え方が、皆無になってくることでしょう
結論:行年と享年どっちが良いのか?
冒頭で、どちらでもいいとお話ししましたが、どちらでも良いが返って、困ってしまうものです。
■先祖の位牌を見てみて下さい。
行年と書かれているか?享年と書かれているか?
行年と書かれていれば、同じように行年で。享年と書かれていれば享年で作りましょう。
また、年代にもよりますが、数え年で刻まれているか?満年齢か?それもご先祖に合わされるといいでしょう。
先祖のお位牌と並べてみて、先祖が「行年」「数え年」であって、新しいお位牌は「享年」「満年齢」では、つり合いが取れなくなってしまいますね。
■新しく新仏を迎えられる方
あと20年程は、本家に合わせて、「行年」「数え年」で刻銘されることをおススメします。
現代では、先祖に合わせてかろうじてお造りしていますが、いずれは、数え年という考え方すら無くなっていますことでしょう。
いずれかのタイミングで、すべてが「享年」「満年齢」となると想像しますが、今はまだその時ではないと考えますがいかがでしょうか?
年齢の後に「歳」と「才」どちらが良いでしょうか?
年齢の後に「歳」と「才」どちらが良いか?と聞かれる場合があります。
前述したように、享年の時は、使わないケースも多いのですが、使う場合は「歳」がお勧めです。
「歳」には「歳月」や「歳末」などの熟語があるように、「年」をあらわしています。
「才」は「才能」や「天才」などの熟語で使われるように、生まれ持っての能力を表す意味合いがあります。
本来は、歳を使うべきところ、画数が多くて書きづらいという事から「才」が使われるようになりました
お位牌には、尊敬や重々しさがあった方が良いと思いますので当院では「歳」をお勧めします。
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