桜の季節、皆さまいかがお過ごしでしょうか。本寿院住職の三休でございます。
先日、当院で戒名を授かったご遺族の方から、大変心に染入るお葉書を頂戴いたしました。一年前、最愛のご主人を亡くされ、深い悲しみと戸惑いの中にいらっしゃった奥様からのメッセージです。本日はそのお手紙をご紹介しながら、一周忌という節目に私たちがどのように故人と向き合い、心を整えていくべきか、仏教の視点からお話しさせていただきます。

1. 悲しみの迷子から、感謝の再会へ
お葉書にはこう綴られていました。 「一年前、夫が亡くなり、何もわからないまま助けていただき、私の思っている供養ができました。夫の死に直面し、私自身迷子になりましたが、受け入れていただき今日がございます」
大切な人を失った直後、私たちは誰もが「心の迷子」になります。何をすればいいのか、どこへ向かえばいいのか、感情の整理がつかないまま時間だけが過ぎていく。そんな中、当院とのご縁を通じて「自分らしい供養」を見出されたことは、私にとっても大きな喜びです。
一周忌は、亡くなってからちょうど一年。桜が咲く季節に亡くなられたのであれば、再び桜を見ることで、当時の悲しい記憶が鮮明に蘇ることもあるでしょう。この一年間、本当に辛く、悲しい日々を歩んでこられたこととお察しいたします。
2. 供養とは「亡き人のため」だけではない
多くの人が「供養をしないと霊が迷うのではないか」「成仏しないのではないか」という不安から法要を行います。しかし、私は少し違う考えを持っています。
供養とは、何よりも「感謝の法要」なのです。
「お父ちゃん、今までありがとう」と手を合わせる。それは亡くなった人のために何かをしてあげるという一方的な行為ではなく、こちら側がこれまでのご恩に気づき、感謝を振り向ける時間です。
「あの世で幸せになってね」と願う必要はありません。仏様の世界(浄土)へ行かれた方は、すでに最高の幸せの中にいらっしゃいます。私たちはその幸せの中にいる故人に対し、今の自分たちの無事と感謝を伝えるだけで良いのです。
3. 戒名がもたらす「安心」と「仏弟子」の誇り
「戒名をもらっても、死んでからの名前だからよくわからない」 そんな声を聞くことがありますが、それは戒名を「死後の記号」だと思っているからです。
本来、戒名を授かるということは「仏弟子(ぶつでし)になる」ということです。仏様の弟子となり、正しい教えに導かれ、苦しみのない世界で一歩一歩修行を重ねていく。その歩みを支えるのが戒名です。
先日、当院では「授戒会(じゅかいえ)」を行いました。参加されたのは、平成元年生まれの若い青年でした。若いうちから仏弟子として生きる決意をされたことは、誠に素晴らしいことです。本来は生前のうちに仏弟子になることが望ましいのですが、叶わなかった場合でも、葬儀の際にお急ぎで授けることで、故人はしっかりと仏様のもとへ導かれます。
4. 「一蓮托生」――またあの世で会いましょう
仏教には「一蓮托生(いちれんたくしょう)」という言葉があります。現代では悪い意味で使われることもありますが、本来は「死後、極楽浄土の同じ蓮(はす)の花の上に生まれ変わる」という美しい約束の言葉です。また、「倶会一処(くえいっしょ)」とも言い、浄土で必ず再会できることを説いています。
最愛の人を亡くした悲しみは消えることはありませんが、「必ずまた会える」と信じることができれば、それは大きな「安心(あんじん)」へと変わります。
感謝の思いを振り向けることで、私たち自身の心が温かくなり、安心に包まれる。そうして穏やかな心で手を合わせることこそが、本当の供養になると私は強く信じております。
動画のタイムスタンプ
00:00 はじめに:ご遺族から届いた温かいお便り
01:10 「一周忌」という節目:悲しみと向き合う一年
02:30 供養の真意:それは義務ではなく「感謝の法要」
04:15 戒名の本当の意味:仏弟子として導かれるということ
06:00 生前戒名のすすめ:平成生まれの青年との新たなご縁
07:45 「一蓮托生」と「倶会一処」:また会えるという安心感
09:30 住職の近況:病からの回復と法話・つちぼとけ教室の活動
11:00 法要のご予約について:住職指名のご案内 詳しくは動画をご視聴下さい。
5. 三休住職の近況と法要のご予約について
お葉書の中で「ニコニコしたご住職に一目お会いしたい」という大変光栄なお言葉をいただきました。
実は私、昨年一時病に倒れまして、一年ほど思うように動けない時期がございました。現在は幸いにして元気を取り戻し、全国各地での法話会やつちぼとけ教室、写経会など、皆さまとのご縁を求めて飛び回っております。
そのため、お寺を留守にすることも多く、すべての法要を私が直接執り行っているわけではございません。当院の信頼できる僧侶たちが真心を込めて務めさせていただいております。
もし「一周忌はぜひ三休に」というご希望がございましたら、遠慮なく事前にお申し付けください。特別な指名料などは一切ございません。私のスケジュールが合う限り、精一杯調整させていただきます。皆さまと笑顔でお会いできる日を楽しみにしております。


