はじめに:一通のお便りから
おはようございます、本寿院の三休でございます。 先日、あるご家族様から大変心温まるお葉書を頂戴いたしました。そこには、以前お父様の「生前戒名」を授与させていただいたご縁で、今回はお母様の戒名もお願いしたい、という内容が記されていました。
「父に続き、母にも。大変良い戒名をいただき、家族一同喜んでおります」
この言葉に、私自身も深く胸を打たれました。戒名とは単なる亡くなった後の名前ではありません。今回は、このお葉書をきっかけに、最近増えている「夫婦で授かる生前戒名」の意味や、それが家族にとってどのような心の平安をもたらすのかについて、お話ししたいと思います。

1. なぜ「夫婦一緒」に戒名を授かるのが良いのか
多くのご相談を受ける中で、私は「できればご夫婦ご一緒に授かられるのが良いですよ」とお伝えすることがあります。これにはいくつかの深い理由があります。
夫婦が共に連れ添う「対」の戒名
戒名には、その方の人生や性格、そして大切にしてきた想いが込められます。ご夫婦は長年、同じ屋根の下で喜びも苦しみも分かち合ってこられた「人生の伴侶」です。 生前戒名をご夫婦同時に、あるいは同じお寺で授かることで、お二人の戒名の文字のバランスや、共通の想いを込めた「対(つい)」になるような構成にすることが可能になります。墓石に並んだとき、あるいは位牌が並んだときに、お二人が生前と同じように寄り添っている。そんな形を残せることが、ご夫婦で授かる最大の魅力と言えるでしょう。
「お布施」に対する不安を解消したい
動画でも少し触れましたが、お布施の問題は避けて通れません。現代において「戒名の値段が不透明だ」という不満や不安を耳にすることが多々あります。 私は、お布施とは本来、喜んで捧げるものであるべきだと考えています。特にご夫婦で授かられる場合、経済的な負担を心配される方もいらっしゃるでしょう。当院では現在、生前戒名のお布施を一体3万円と定めておりますが、ご夫婦で同時にお申し込みいただく場合には、さらにご家族の負担が軽くなるよう配慮させていただくこともございます。
それは、「安売り」をしたいわけではありません。「一人でも多くの方に、お金の心配をせずに、清々しい気持ちで仏弟子としての名前を持っていただきたい」という、お寺としての切実な願いがあるからです。
2. 「生前戒名」は究極の親孝行である
日本ではまだ、「生きているうちに戒名を付けるなんて縁起が悪い」と考える方もいらっしゃいます。しかし、私は断言します。生前戒名こそが、現代における「究極の親孝行」の一つであると。
子供に「判断」という重荷を背負わせない
親御様が亡くなられた直後、ご遺族は深い悲しみの中にいます。その中で、葬儀の打ち合わせ、お布施の相談、そして「戒名をどうするか」という決断を迫られます。「父にふさわしい戒名は何だろう?」「お布施はいくら包めば失礼にならないだろう?」と、子供たちは悩み、時には親戚との板挟みになって苦しみます。
もし、生前にご両親が自ら戒名を授かっていたらどうでしょうか。 「父も母も、自分たちの意志でこの名前を選んだんだ」 その事実は、子供たちにとって大きな心の支えになります。迷う必要がなくなるのです。これこそが、親から子へ贈る「安心」という名のギフトではないでしょうか。
仏弟子として生きる「人生の指針」
戒名を授かるということは、仏様の弟子になるということです。それは、死ぬための準備ではなく、「これからどう生きるか」という決意でもあります。 動画でお話ししたように、当院では10歳で戒名を授かった方もいらっしゃいます。若いうちから、あるいは元気なうちから自分の「魂の名前」を持つことは、日々の生活の中に「自分を律する芯」を作ること。自分の心に「戒律」を持つことで、人生の歩み方はより豊かなものに変わっていくのです。

3. 「どんな戒名がつくか心配」という声に応えて
ある時、当院へお越しになった方がこんなことを仰いました。 「カード決済をするけれど、どんな戒名が付いたか見るまでは決済したくない」 目の前で堂々と仰られたので、私も驚いて目がくるくる回ってしまいましたが(笑)、その方のお気持ちもよく分かります。一生、そして末代まで残る名前ですから、納得したいと思うのは当然です。
しかし、戒名とは「商品」ではなく「授かりもの」です。良い悪いを品定めするものではなく、仏様とのご縁をいただくものです。 だからこそ、私は生前にお会いし、その方の人生を伺うことを大切にしています。お話を伺い、その方の歩みを感じ取った上で、心を込めて一字を選びます。生前であれば、直接その意味を解説し、納得していただくことができます。この「対話」があるからこそ、生前戒名は「一生の宝物」になるのです。
4. 新しい供養の形:お骨仏(こつぼとけ)に見守られて
動画の最後にご紹介した「お骨仏」についても、少しだけお話しさせてください。 現代は、お墓の承継者がいない、あるいは子供に迷惑をかけたくないという悩みを持つ方が非常に多い時代です。当院では、お骨を邪魔者として扱うのではなく、仏様(阿弥陀如来様)の胎内に納め、仏様そのものとして供養する「お骨仏」という形をご提案しています。
生前戒名を授かり、仏弟子となって歩んだ人生。その最後は、仏様の一部となって、大切な家族をいつまでも見守り続ける。 「死んでからもずっとみんなに見守られ、自分も仏様として役に立つ」 そんな循環が、遺された家族にとってどれほどの救いになることか。生前戒名からお骨仏へ。この一連の流れは、現代における一つの「理想的な終活」の形だと信じています。

おわりに:いつでもご相談ください
今回お便りをくださったご家族のように、お父様、お母様、そしてお孫さんまで、家族全員が仏弟子となって歩んでいく姿は、本当の意味での「心の平安」を体現されています。
戒名は、決して怖いものでも、縁起の悪いものでもありません。 あなたの人生を肯定し、これからの日々を支え、そして家族を繋ぐための「光」です。 もし、少しでも興味を持たれたり、不安を感じたりすることがあれば、いつでも本寿院へご相談ください。一通のお便り、一本のお電話が、あなたの、そしてご家族の未来を明るく照らす第一歩になるかもしれません。
皆様の心が、少しでも穏やかでありますよう。 合掌。
【動画で詳しく見る】
【この動画のポイント】
- 00:58 夫婦で揃える「連れ添い戒名」のメリット
- 01:21 家族に負担をかけないお布施の考え方
- 03:11 生前戒名が「親孝行」と言われる理由
- 05:03 仏様となって家族を見守る「お骨仏」とは


