先日、当院で生前戒名を授かられた方から、大変心に響くお礼のおハガキを頂戴いたしました。
おハガキには「終活を考えて、死んでからでは戒名が分からないのは嫌だと思い、生きているうちに授かろうと思いました」と、まっすぐな思いが綴られていました。今回はこの素晴らしいご縁をご紹介しながら、終活における「お布施」の現実や、私自身の経験も交えた「今を生きるための終活」について、ホームページでも共有させていただきたいと思います。
心肺停止から16年。「1日1日を噛みしめながら生きる」ということ
まずは、お送りいただいた温かいおハガキをご紹介いたします。
いただいたお手紙(要約) 「この度は生前戒名を授けていただき、誠にありがとうございました。終活を考えたとき、死んでからでは自分の戒名が分からないのが嫌で、生きているうちに授かろうと思いました。 実は16年前に『心肺停止』となり、生死を彷徨う経験をいたしました。それ以来、いつ死ぬかも分からないので、1日1日を噛みしめながら生きております。授けていただいた素敵な戒名を大切にしてまいりたいと思います。」
おハガキを拝見し、胸が熱くなりました。生死の境をくぐり抜けられたからこそ、人生の有限さを誰よりも深く理解し、前向きに終活に取り組まれている姿は本当に素敵です。
実は、終活のなかで「お墓」や「お葬式」は費用や形がはっきりと決まっていることが多いのですが、一番分かりづらく、直前になって多くの方が困られるのが「戒名」と「お布施」なのです。
墓じまいセミナーで聞いた「戒名料150万円」の驚きと、お布施の現実

先日(2026年4月17日)、私はお墓や墓じまいに関するセミナーを開催いたしました。その際、参加されたある方からこのような切実なお話を伺いました。
「以前、父が亡くなったときに『戒名代』として150万円がかかりました。今度、母に模したもしものことがあったら、また同じくらいの高額なお布施が必要になるのだろうか……。もうそんな負担には耐えられない、お寺とのお付き合いはやっていけないと思って、この墓じまいセミナーに来たんです。」
このように、戒名や葬儀のお布施で何十万、何百万という高額な費用を提示され、お寺不信になってしまう方は後を絶ちません。 全国平均でも、葬儀のお布施を含めると50万円ほどと言われていますが、お寺やランクによって金額はバラバラです。さらに困るのが、お寺から「お気持ちで」と言われることです。以前、別の相談者様から「『お気持ちで』と言われるのが1番困るんだ!」とお叱りを受けたこともあります。
だからこそ本寿院では、皆さんが迷ったり不安になったりしないよう、生前戒名のお布施の目安を「3万円」とはっきりと提示させていただいています。もちろんお布施は「料金」ではありませんが、明確な目安があることで、残されるご家族も心から安心できる終活が進められるようになります。
私自身の死の体験──「大動脈解離」で倒れて見えたもの
おハガキをくださった方は16年前に心肺停止を経験されたとのことですが、実は私自身も、約1年前に「大動脈解離」という大きな病気で突然倒れました。
それまでは健康診断も受けないほどピンピンしていたのですが、ある日突然、激痛が走ってバタンと倒れ、救急車で運ばれて緊急手術を受けました。医師からは「半分近くの人は帰ってこられない(命を落とす)非常に恐ろしい病気です」と言われました。
一瞬にして人生が終わるかもしれない──。この九死に一生を得る経験を通して、私の人生観も大きく変わりました。 「人間、いつ死ぬか本当に分からない。だからこそ、いつ死んでもいいように準備(終活)だけはしっかりとしておこう」と心に強く誓ったのです。
もちろん、今突然死んだら「もっとあんなこともしたかった」と後悔はするでしょう。しかし、突然のことに家族や周りの人が困ったり、迷惑をかけたりすることは避けたい。自分の生きた証やお寺の引き継ぎはきれいにして、心も体も身軽になっておきたいと思うようになりました。 それ以来、私自身も身の回りの不要なものをどんどん整理し、ある意味では「自分の人生なのだから」と、良い意味でわがままに、今の一瞬一瞬を大切に生きるようになりました。
お戒名は「名前」ではなく、新しい人生を生きるための「戒律」
生前戒名を授かるということは、単に「死んだ後の名前をキープしておく」ということではありません。 仏教において、生前戒名を授かることは「戒律(かいりつ)を授かり、仏弟子(ぶつでし)になる」という、とても神聖で素晴らしい儀式です。
「これからの残された日々を、新しい名前とともに、もう一度新しく生き直していきませんか」
おハガキをくださった方が「1日1日を噛みしめながら生きている」とおっしゃるように、生前戒名はこれからの人生の道標(みちしるべ)となり、私たちの心をホッと安心させてくれます。昔から「生前戒名を授かると長生きする」と言われますが、それは死への不安が消え、今を前向きに生きられるようになるからだと私は確信しています。
戒名の付け方を詳しく紹介ページをご覧くださいね。「戒名の基本」

最後に
私たちは、亡くなった方が家族にとっての「邪魔者」として忘れ去られるのではなく、「仏様となって、残された家族をいつまでも優しく見守ってくれる存在」になるのだと考えています。 死後も自分が仏様として誰かの役に立ち、みんなに手を合わせてもらえる安心の拠り所を作ることこそが、生前戒名の本当の価値です。
おハガキをくださったご相談者様、今回は温かいメッセージを本当にありがとうございました。お近くにお越しの際は、ぜひお気軽に本寿院へお立ち寄りくださいね。
今回の内容はYouTube動画でも、私の病気の話を交えながら詳しくお話ししています。ぜひ合わせてご覧ください。
▼ 動画はこちらからご視聴いただけます (※動画が参考になった方は、ぜひ「いいね」ボタンやチャンネル登録、コメント欄へのご質問やご意見もお気軽にお寄せください!)


