授戒会で戒名を授かり仏弟子となる
令和3年4月3日 生前戒名を授かる「授戒会」を厳修しました。
コロナ禍の中、緊急事態宣言が発出されていましたので、しばらく授戒会を中断しておりました。
そんな中、以前神戸でつちぼとけ教室を開催して時にご参加くださった生徒さんが突然来院されました。
ご主人が逝去され、息子さんのおられる東京に移ってこられたそうです。
お寺にお越しになるのは、初めてです
ご主人の葬儀の時は大変だったそうで、いろいろお話しする中で生前に戒名を授かりたいとの事
それは素晴らしい。と快諾いたしました。
戒名は、死んでからではわからない
戒名とは、元来、生前に授かるもので、死後に授かるものではありません。
現在、京都国立博物館にて「鑑真展」が開催されていますが、鑑真さんはなぜに?日本にやってこられたのでしょうか?
それは、仏教の大切な戒律を授けにやってこられたのです。
一番に授かったのは、聖武天皇だと言われていますが、その時に授かった戒名が「勝満」です
仏教が日本に伝来(538年)してから約200年ほど後の事です
それから、たくさんの方が戒名を授かっておられます。
武田「信玄」や上杉「謙信」といったものも、戒名です。
戒名とは、改名ではない
戒名とは、名前を付けるだけだと思っておられる方は多くあります。
戒名とは、その名の通り、「戒律を守る」と御宝前(仏様の前で)誓った時に初めて、仏教徒として認められ、仏弟子となるのです。
さて、この時に授かる戒律って何でしょうか?
五戒誓願
1:不殺生戒(ころすなかれ)
2:不偸盗戒(ぬすむなかれ)
3:不妄語(嘘をつくな)
4:不邪淫戒(みだらな関係)
5:不飲酒戒(酒を飲んで心を乱すな)
授戒会の前に、この内容を最終確認の意味で説明し、決意を確認します。
中には、五番目にある、お酒を飲むなという「不飲酒戒」は守れませんとおっしゃる方があります。
大丈夫です
私の御酒は大好きです(笑)
お酒を飲むことが悪いのではなく、お酒を飲むことで、心が乱れ、喧嘩をした嘘をついたなどしてはいけないと考えます。
そう、常に心を平安にしておく事が大切なんですね。
剃髪
お坊さんがなぜ?丸坊主なのでしょうか?
かつて、専門学校の非常勤教師や大学のゲスト講師として指導して参りました。
その時の試験にはこんな設問を用意しております
Q:お坊さんはハゲでしょうか?
何ともふざけた設問だと思われるでしょうが、実はとても大切な事なのです。
お坊さんは、みんな丸坊主ではないという事です。
浄土真宗のご僧侶は、髪はふさふさです。平成14年11月にひろさちや先生と浄土真宗の和尚さんと500名ほどの講演会をさせていただきましたが、浄土真宗の和尚さんはロン毛姿でした。
これは、浄土真宗の教えは、私たち僧侶も含めて凡夫であるから、戒律を守って修行することなどできない
ですから、すべて阿弥陀様にお任せする。阿弥陀の本願にゆだねる。これを他力本願といいますね。
浄土真宗には、戒律がないから、戒名ではなく法名
先ほどの設問の正解は「ハゲではない」というのが正解です。
その理由の一つは、僧侶は、自らの遺志によって剃髪しているという事です。
なぜ?剃髪するのだろうか?
それは、一般の方と比べて、僧侶であると区別し、自覚を持つことであります
中には、帽子をかぶって居酒屋で酒を飲んである僧侶もいますすが(私の事です)剃髪するとどこにっても僧侶だとみられるため自覚が必要になります。普段の生活の中にも僧侶としてあるまじき姿を想像して歩んでいく。
社会の為人のために、修行し、心を磨いていく。簡単なようで、難しいことです
次に、修行の邪魔になる。
髪の毛があると、寝癖がついたり、髪形を気にしますね。髪型一つで印象も変わってしまいます。
カッコつけたり、色を染めたり・・・それらはすべて欲求から来ているものですので、欲をなくせという仏教の教えに反しています。ですから、修行の邪魔になってしまうのですね。
最後に、衛生的な事
修行中は、あまり風呂に入ることが許されません。そうするとシラミなどわいてしまうことも有ります。
衛生的にしておくことで、頭をそるという考えもあると思います
さて、話を戻しますが、浄土真宗には修行がありません。
ですから、戒律もないのです。戒律がありませんから、戒名とは言わず、法名(ほうみょう)というのですね。
ちなみに、天台宗・真言宗・曹洞宗・臨済宗・浄土宗は、戒名といいます。
日蓮宗の場合はどうかというと、戒律はあるのですが、お題目(南無妙法蓮華経)を護持することは持戒に勝るとされ、戒名とは言わず「法号(ほうごう)」といいます。
般若心経奉読
剃髪し、五戒誓願が終わり、はれて仏教徒の仲間入りとなりました。
仏弟子として仏道精進していきます。
お経はなぜ?唱えるの
葬儀や法事でお坊さんが一生懸命お経を読んで知る。漢字ばっかりで何を言っているか?わからない。
どうして?あんな意味の分からないものを読んでいるんだろう?
いつも、眠くなってしまいます・・・。
という意見は多く聞きます。
あの今日は、先祖の為でも、死者を成仏させる呪文でもありません。
葬儀のためのお経や、3回忌の為のお経というものもありません。
お経とは、お釈迦様の教えであり、私たちがその教えを聞いて、実践し、学ぶものなんです。
お坊さんが唱えているお経は、お釈迦様の言葉であり、それを、法事に参列された方々と聞いているのです。
いわば、お釈迦様の説法を聞いているのですね。
しかし、インドの言葉が中国語に翻訳されて伝わっていますので、現代人には難解です。
意味を分からずに唱えているお坊さん(私)もたくさんおられます。(笑)
般若心経については、動画「本寿院つちぼとけチャンネル」にてお話ししておりますのでよろしければご覧ください
おめでとうございました。正式に戒名をお授かりになり、仏弟子となられました。
これからは、新しい名前で新しい人生をご精進ください。
(ご本人の許可を得てお写真を掲載しております。過去の授戒会で公開したくない方にはモザイクをかけております。また、ご希望の方には、はげカツラをつけての記念撮影をしております)
授戒会の最後に
冒頭でもお話ししましたが、戒名は、死んでからではなく、生きている間に必要なものです。
第一死んでからでは、戒名は、わかりませんね
仏教は、死んでからの教えではありません。今、私たちが生きていくために必要な教えが仏教です。
文字の長さがどうだとか!
戒名のランクがどうだとか!
そんなことが仏教の教えではありません。
ですから、「戒名を自分で付けましょう」という本を出版し、全国各地で講演会を開催しております。
しかしながら、コロナ化で講演会が出来なくなってきたことから、
オンラインでで戒名講座を開催しております。
戒名とは何か?戒律とは?詳しくは、「戒名のページ」をご覧ください。
[pdf-embedder url=”https://honjyuin.com/wp-content/uploads/2020/10/5df2127e482ffa0e42ce73612e52299c.pdf” title=”戒名講座20210327″]
当院並びに関係寺院では、毎月授戒会を開催しておりますので、よろしければご参加ください。
なを、授戒会にご参加いただけない方(お亡くなりになった方や遠方・体調不良・多忙等)は、かわって住職が授戒会を行っており、御宝前に報告しております。
ありがとうございました。合掌
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