池袋西武百貨店 戒名講座とお墓の問題
西武池袋線百貨店 池袋コミカレより依頼があり、戒名講座とつちぼとけ教室を開催させていただきました。
こちらでは、年に3〜4回程開催させていただいている講座でございます。西武の会員にならなくても、どなたでも受講できるオープン講座でございます。
元々は、つちぼとけ教室のみを行なっておりましたが、私が戒名の本「戒名って高い?安い?(日新報道刊)を出版してから、戒名の話をしてほしいと、2講座を受け持つことになりました。
戒名講座とつちぼとけ教室は、全く別の講座ですので、受講される方も違ってきます。中には、両方受講される方もございますが・・・
また、前々回より、墓じまいや終活 お墓の質問が多いことから、講座内容が戒名だけでなくお墓や樹木葬・散骨についてのお話もさせていただいております。
戒名講座は、全国に伺いながら、140回ほど開催させていただきました。慣れたものではございますが、午後からの講座はとても大変です。
講座内容は、まず、仏教のことを知っていただかなければ、戒名について理解できません。
仏教の誕生から、日本に仏教が伝わり、それから200年ほどして743年 奈良時代に中国より鑑真和上が来日して初めて、授戒式を行います。
日本に仏教は伝わっておりましたが、戒律を授ける僧侶が必要であり、苦労して来日された高僧です。
このように、戒名とは、読んで字の如く、仏弟子として戒律を授かった時にいただくものであり、日本で初めて授かったのは、聖武天皇の「勝満」であったとされています。
このように、仏教の話を始めると、多くの方が瞑想に入られます。お昼を食べてお腹がいっぱいで、仏教の話を聞くと眠くなるのも当然です。
私の学生時代も同じでした。しかし、寝かせないのが講師の役目です。受講者と講師の戦いが始まります。
質疑応答が中心の講座ですので、その時によって内容が代わってきます
というほど大袈裟なものではありませんが、皆さんから気軽に質問を受け付け、その質問に対して回答し、話を膨らませていきます。
こうして実際に質問を受け付けて、その疑問を解決できれば、戒名講座に受講した甲斐があるものですね。
結論は決まっているのでは?戒名は、自分で付けられないのでは?
冒頭からストレートなご質問がございました。
そのかたは、私の出版した「戒名を自分でつけてもいいですか?」(青娥書房刊)という本をすでに購入され読んでくださってました。
回答
その通りです。戒名は自分では付けられません。
私の本も「戒名を自分でつけてもいいですか?」と対等になっておりますが、「戒名を自分でつけよう」とか「戒名を自分でつける方法」といったタイトルではありません。
戒名とは何か?よくお考えください
戒名って何でしょうか?
ご質問の方は、海外生活が長く、分家なのでお墓もなく、もしもの時に、子供達に迷惑をかけたくないとおっしゃっておられました。
子供達に迷惑とは何でしょうか?
それは、まさに、戒名料に関することですね。
多くの方は、お坊さんに高い戒名料を払うことを思えば、自分でつけた方がいいと思っておられます。
加えて、知らないお坊さんにつけてもらうよりも、一番知っている自分が一番相応しいとも。
ここでの勘違いが、
戒名=死後の名前 あの世での名前をつけるのがお坊さん
全く違います。
戒名は、死んでからのものではなく、生きている間に授かるものです。
名前を授かるのではなく、戒律を授かり、仏弟子となり、この人生を歩んでいくものです。
と声を大にしてお話しすると、少し驚かれる方もあります。
そうなんですね。この世で戒名を授かることができなかったから、急いで葬式で戒名を授けて、仏弟子としている現在の葬儀の形がおかしいのです。
戒律とは、五戒 (殺すな、盗むな、嘘つくな、淫らな異性関係、お酒を飲むな)という戒律を守ると仏様の前で誓った時に仏弟子となるものです。
戒名を売ろうとされているのでは?
ですから、戒名は、仏教徒であれば必ず必要なものです。
キリスト教の方や、イスラム教、神道、無宗教の方に戒名は必要ありません。
昔は、戒名のない葬式など考えられなかったのです。
没後作僧と言って、本来は生前に授かるのもではあるけれど、授かることができなかった方は救われないのか?御仏の慈悲に預かれないのか?
天寿をまっとうして亡くなる方ばかりではなく、幼くして亡くなった我が子をどうか、極楽浄土に導いてもらいたいというのは、親の切なる願いですね
何とか今からでも急いで戒名を授かり、仏弟子にしているのでが現状です。
ほらほら、住職はそう言って「戒名を売ろうとしているのではないですか?」
と聞こえてきそうですね。
その昔は、戒名やお葬式にお金は必要ありませんでした。お寺は役所のように戸籍管理をし、死亡診断をだして、キリスト教でないことを証明したのです。
しかしながら、廃仏毀釈 仏教を排除して神道を中心とされていきます。
お寺を護持していくために檀家さんたちで守ってきたの今の形です。
戒名料は、商品ではなく、檀家さんたちが、皆さんで出し合い、お寺を守ってこられているのですね。
お寺は、儲けるために経済活動をしているものでもなく、さまざまな仏教活動をしておられます。
生前戒名を自分でつけた人もいます
浄土真宗の親鸞さんや、日蓮宗の日蓮さん、真言宗の空海さんなどは、ご自分で戒名をつけておられます。
もっとも、死んだ時のための準備しようとつけたものではありませんね。
それは、仏様の前で自誓されておられるのです。
ですから、増上寺でも、浅草寺でも、近くのお寺様の本堂に座って、ご自分で仏様と約束して五戒請願するのです。そうすることで、立派な戒名となります。
自分で付けた戒名での葬儀
ただし、もしもの時はどうされますか?
自誓となると、自分一人で悟ったわけですから、弟子をとって弟子が葬儀をするしかありません。
もし、葬儀の時に、お坊さんを手配されたなら、きっとこう言われることでしょう。
「ご自分でつけたものは、戒名ではありませんので、私から授戒させていただきます。」
ですから、ご希望の戒名を使っていただけるかもしれませんが、戒名料が無料になるわけでも割引になるわけでもありません。
自分で考えた戒名だから、無料でいいよね。とはならないのです。
しかし、生前にお寺から戒名を正式に授かっていれば、それは素晴らしいことだと、問題なく葬儀ができるでしょう。
そして、なぜ?自分で戒名をつけたいのか?よくお考えになってください。
葬儀のため?葬儀のために、遺された子供達に迷惑をかけないために、自分で考えておく?
私のお寺では、戒名3万円という目安をお話ししておりますが、経済的にお困りの方は無料でもいいですよ。また、坊主に金を払いたくないというのであれば、無料でも私からお授けしますよ。
そうすれば、子供達に何も迷惑がかかりません。
戒名を授かり、仏弟子として歩んでいく。素晴らしい事ではありませんか?
戒名を解らないからありがたいものと済ませるのではなく、戒名とは何か?そして戒名を授かり仏弟子として、ご自分の人生を見つめていただければ、こんなに嬉しいことはありません
生前戒名を授かったご夫婦の方がお越しくださいました。
講座の中で、その方の戒名を紹介させていただき、戒名についてお話しさせていただきました。
このかたは、私が行なっている「ラオスに小学校を建てる」活動にも協力してくださっています。
「いい戒名を授かって、それに見合う生き方をしていかないと精進します」とおっしゃってくださいました。
ご両親の戒名を追贈した方がご参加くださいました
以前にお父様がお亡くなりになり、高位の戒名を授かったそうです。
その後、お母様がお亡くなりになり、その時に授かった戒名ではランクが違って釣り合いが取れないと相談がありました。
その場合、追贈と言って、後から院号をお授けすることもできます。
また、こんなケースもあります。後から宗派違いの戒名であった場合
そんなことも、相談を受けながら、これから長い時間手を合わせて供養されて行かれますので
安心して祈ることができるように解決が出来ればと思っております
戒名の文字が短いのは、お布施が少なかったから?
兄が、喪主だったのですが、戒名の文字数が少なく、兄がお布施をケチったせいだと思っていました
こんなご意見もありました。
お兄様が喪主としてお母様の葬儀を執り行ったのですが、釈○○ とたったの3文字で、その短い理由は、お布施をケチったからだと思っておられたそうです。
戒名講座に参加され、戒名は、全ての宗派ともに、2文字です。その前後にある、院号・道号・位号は、宗派の特徴があります。
浄土真宗さんの場合は、お釈迦さまの釈をつけて、2文字が通常です。
とお話しする、理解くださったようです。決してお布施をケチっていたわけではないと安堵されていました。
戒名講座も、アンケートが全員 「とても良い」に丸印を付けて下さり、大変うれしく存じます。戒名の意味や、成り立ち、思いが伝わったことと存じます。
戒名講座終了後 次は「つちぼとけ教室」です
今日も、良い地蔵さんが産まれました。
土をひねって仏様をつくる。
土と向き合っていると、自分の心の中にこんなにも清らかな心があったのかと気づかされます。
自分の為に作るのではなく、お地蔵様が、たくさんの方の励みになり救いになっていただきたいと作る祈りの地蔵さんです。
世界にたった一つの、うまいも下手もない仏様。不思議と笑みがこぼれてきます。
亡くなった方の供養の為に、心を込めて・・・
次回戒名講座とつちぼとけ教室のご案内
日時:令和5年12月12日
場所:池袋西武百貨店 コミカレ
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