戒名とは

戒名とは、仏門に入る際に「戒」を授かることによって頂く、新しい名前です。本来は生前の方が得度を受けることによって戒を授かり、僧侶として生きて行くために与えられるものです。戒名の根本的な意味は、「仏教における戒律を守ることを誓った者に授けられる名前」です。
一般的には葬儀の際に戒名を授かる習わしですが、これは仏縁を築いていない方に死後に仏の世界に向かって頂く事を意味しております。故人に戒名をお授けして、死後迷うことなく仏様に浄土へと導いて頂くために必要になります。
浄土真宗は「法名」という言い方を致しますが、これは戒ではなく「法」を授かるというところに由来します。戒名には、生きている内から授かる生前戒名と、亡くなった時に授かる没後戒名があります。
多くの場合、亡くなってから授かるケースがほとんどであり、没後戒名=死後の名前だとお考えになります。しかし、本寿院では、生前に授かり、生者の為の「戒名」であることを強くお伝えさせていただいております。下記の動画は、池袋西武百貨店 池袋コミュニティカレッジ主催で講義を行ったものです。(次回は、2026年9月ごろの予定です。)
戒名の起源と本質:なぜ「名前」を変えるのか
第一に、中国において、漢の時代頃になると、人の名前は二字を用いるようになりました。一字はその人の系統を表す文字であり、もう一字は名の本体を表す一字です。これを系字といいます。この系字の風習は明の太祖の時代になると法令で強制されるようになり、一般人は必ず系字を授かるようになりました。日本における戒名(法名)の歴史は中国の名前から由来すると考えられています。
次に、中国では僧侶の呼称で道号は重要なものでした。これは「字(あざな)」ともいわれ、夢想礎石、一休宗純のように、法名の上に受ける呼び名です。このように、僧侶を正式には法名と道号を合わせて四字で読んだのが道号の始まりであると考えられています。
院号は、平安時代に始まる日本独特の呼称です。天皇がご退位後の御所の名を取ったところから院号が始まります。平安時代の仏教は公家や貴族社会において寺院住宅の形が一般的となりました。そして、本人が実際に建てたり住んだりしていた住まいのお寺の名前を受けて院号として利用する風習が成立ました。そして鎌倉時代に入ると、次第に実在しなくても建てるつもりであった寺や、お寺に貢献してきた功績をたたえて院号を称するように変わっていきました。

仏弟子としての証
仏教の伝統では、悟りを開くために修行に入る際、それまでの世俗的な身分や姓名を捨てます。これは「出家」を意味し、現世での自分を一度リセットして仏道に専念するための儀式です。
本来は生前に修行者が授かるものでしたが、日本では平安時代末期から鎌倉時代にかけて、亡くなった人に対しても「引導(いんどう)」を渡し、仏弟子として浄土へ送り出すという考え方が定着しました。これにより、「死後に授かる名前」という認識が一般的になりました。
戒名の構造(構成要素の詳細)
一般的な戒名は、いくつかのブロックに分かれています。これを知ることで、その方の人生や貢献度がどのように評価されたのかを読み解くことができます。
① 院殿号(いんでんごう)・院号(いんごう)
最も上位につく称号です。もともとは皇族や貴族が建立した寺院(○○院)に由来します。院殿居士は、仏教の戒名に用いられる敬称・尊称の一つで、「院殿号」(院殿)という最上位級の称号に、「居士」(男性の在家信者に対する尊称)が付いた形を指します。女性の場合は通常、末尾が「大姉(だいし)」となり、「院殿大姉」と表記されます。(詳しくは、院殿号のページをご覧ください。)通常は、院殿号を付けることはございません。現代では、安倍元総理大臣ぐらいでしょうか。反対に社会の為に貢献していないのに高位な戒名は、かえって笑われてしまいます。一般的には、院号は多くございます(院号について)
- 意味:寺院に対して多大な寄進(経済的支援)をした人や、社会的に顕著な功績を残した人に贈られます。
- 例:
東照大権現安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士 徳川家康の戒名
泰徳院殿仁智義讓青淵大居士 渋沢栄一さんの戒名
天真院九心玄聲居士 坂本 九さんの戒名
大雲院雷蔵法眼日浄居士 市川雷蔵さんの戒名
満寿院叡彩心酔大居士 池田満寿夫さんの戒名
峰雲院文華法徳日靖居士 井上 靖さんの戒名
也風流庵大拙居士 鈴木大拙さんの戒名
竹久亭夢生楽園居士 竹久夢二さんの戒名
安楽寿院功誉文林徳潤居士 谷崎潤一郎さんの戒名
② 道号(どうごう)
戒名のすぐ上につく、その人の「人となり」を表す言葉です。
- 意味:その人の性格、風貌、生前の仕事、住んでいた場所の風景などを表現します。
- 例:海辺に住んでいたなら「海」、学問に励んだなら「文」など。
- 萬修院泰然自道居士 渡哲也さんの生前戒名
瑞心院喜山健徳居士 志村けんさんの戒名
大光院力道日源居士 力道山さんの戒名
③ 戒名(かいみょう)
ここが本来の「名前」にあたる部分で、基本的には2文字です。
- 特徴:どんなに高い身分の方でも、仏の前では平等であるという教えから、ここは必ず2文字とされています。
- 選字:生前の名前(俗名)から1文字取ったり、尊敬する先祖の文字を継承したりすることが一般的です。
- 例
紫雲院殿政譽清浄晋寿大居士 安倍元総理大臣の戒名
陽光院天真寛裕大居士 石原裕次郎さんの戒名
石森院漫徳章現居士 石森章太郎さんの戒名
慈照院和道法郎居士 坂上二郎さんの戒名
④ 位号(いごう)
最後につく尊称で、性別や信仰の深さ、年齢によって細かく分かれています。
- 成人男性:大居士 > 居士(こじ) > 信士(しんじ)
- 成人女性:清大姉 > 大姉(だいし) > 信女(しんにょ)
- 子供:童子・童女(15歳くらいまで)、孩子・孩女(幼児)、水子(赤ちゃん)
- 例
精進院眞道法禎居士 千葉真一さんの戒名
花香院麗風妙舞大姉 大原麗子さんの戒名
秀岳宗光禅定門 明智光秀さんの戒名
幽玄院義山日盛信士 蔦屋重三郎さんの生前戒名
宗派による戒名の呼び方と特徴
| 宗派 | 呼び方 | 特徴 |
| 天台宗・真言宗・曹洞宗・臨済宗 | 戒名(かいみょう) | 標準的な4部構成(院号・道号・戒名・位号)。 |
| 浄土宗 | 戒名 | 戒名の中に「誉(よ)」という文字が入るのが特徴(誉号)。 |
| 浄土真宗 | 法名(ほうみょう) | 「戒律」がないため「戒名」とは呼びません。男性は「釈○○」、女性は「釈尼○○」となります。 |
| 日蓮宗 | 法号(ほうごう) | 男性は「日」、男性は「法」女性は「妙」の文字が含まれることが多いです。 |
戒名のランクとお布施の関係
現代において最も議論や誤解を生みやすいのが「戒名のランク」と「金額」の問題です。
なぜランクがあるのか
戒名にランクというのはございません。当初は、その方の年代や功績など考慮し身分制度が確立していた江戸時代において何の不思議も差別的感覚もなかったものと考えられます。ましてや、戒名料というものもなく、費用がかかるものではございませんでした。戒名は、仏弟子として当然のものであり、現代のような疑問もなかった事でしょう。天皇陛下がお寺を建立し隠居され、その寺院名を院号とした事から、「院号」が生まれました。ですから院号とは、お寺を建立したという意味があります。
足利尊氏や武田信玄なども、お寺を建立しそのお寺の名前を院号としておりますが、天皇陛下と同格では失礼に当たる事から「殿」をつけることで一歩下がるという意味がありました。いつしか、院殿の方が、文字数が多いとの事から、高位な戒名だとお考えの方が一般化しましたが、本来とは別の意味になっています。
現代でお寺を建てるとなると数億円ほどとなるでしょう。そこまでされる方は稀として、寺院を建立しなくとも、みんなの為に役に立つお寺へ「仏道に貢献したか」そのお礼としてお寺からもしくは、本山から院号を授かるものです。それが、お寺への寄付(お布施)の金額によって、授けられる位号や院号が変わるという慣習がになってきたものです。
お布施の相場感(目安)
- 信士・信女:20万円〜50万円程度
- 居士・大姉:50万円〜80万円程度
- 院号:100万円以上〜
注意点:これらはあくまで一般的な目安であり、地域やお寺との付き合い(菩提寺との関係)によって大きく異なります。また、お布施は「売買の対価」ではなく「感謝の志」というのが宗教上の喜捨という意味です。

現代における新しい動き
価値観の多様化に伴い、戒名の在り方も変化しています。
生前戒名(せいぜんかいみょう)
存命中に戒名を授かることです。
- メリット:自分の希望する文字を入れることができ、死後の不安を解消できる。また、死後に授かるよりもお布施の費用を抑えられるケースが多いです。
俗名での葬儀
「戒名は高額すぎる」「宗教にこだわりがない」という理由から、戒名を付けずに生前の名前(俗名)で葬儀や納骨を行う人も増えています。中には、俗名でお位牌をお造りになる方もあるようです。上述しましたように、昔は戒名のない葬儀はありえないものでした。葬儀で何をしているのか?それは、まさに仏弟子として授戒をしているのであります。戒名は、名前ではなく、仏弟子として引導を渡し、浄土へ導くものです。この背景には、田舎にお寺はあるが、都会に住職が来れないので、戒名だけ田舎のお寺から授かり、都会のお寺がその戒名で住職に変わって葬儀を行われていました。それが、都会では密葬で行い、納骨時に菩提寺から戒名を授かる。そして、菩提寺に納骨せず、都会の霊園にいつか納骨するのでそれまでは俗名で。。。
- リスク:ただし、菩提寺(先祖代々の墓があるお寺)がある場合、戒名がないと納骨を断られる可能性があるため、事前の相談が不可欠です。
戒名が持つ本当の価値
戒名は、決して見栄やステータスのためにあるものではありません。
- 故人への尊厳:厳しい人生を歩んできた故人を、最後に「仏弟子」という高い位に引き上げて見送る。
- 遺族の心の拠り所:位牌に刻まれた戒名に向き合うことで、故人が彼岸(あちら側の世界)で安らかに修行していると感じることができる。
戒名とは、**「この世で一生懸命に生きた証」を、仏教的な価値観で定義し直した「永遠の名前」**であると言えるでしょう。
戒名をお授かる前に、「どんな文字を入れたいか」よりも、「その人がどんな人生を歩んできたか」をお寺の住職にしっかり伝えることを大切にしてください。それによって、単なるランクではない、その人だけの「物語」が込められた戒名が生まれることになります。
戒名のQ&A
Q1. 戒名(かいみょう)とは何ですか?なぜ必要なのですか?
A. 戒名は、仏弟子(仏様の弟子)になった証として授けられる名前です。本来は修行者が受けるものですが、亡くなった後に迷わず極楽浄土へ行けるよう、引導を渡す際に授けるのが一般的です。
戒名が必要?不要?悩めるあなたへ。故人を想う気持ちと、戒名の深い意味
Q2. 戒名のランク(位)によって、後の供養に差が出ますか?
A. 仏教の教えの上では、戒名のランクによって成仏の仕方が変わることはありません。ランク(信士・居士・院号など)の差は、主に「お寺への貢献度」や「社会的な功績」を表すものです。ご自身の家の格式や、周囲とのバランスを考えて選ぶのが一般的です。
戒名のランクって何でしょうか?院号居士や院号大姉の意味について
Q3. 戒名の費用(お布施)の相場はどのくらいですか?
A. 一般的な「信士・信女」で10万〜30万円、「居士・大姉」で50万〜80万円、「院号」が付くと100万円以上が目安と言われます。ただし、地域やお寺との付き合いによって大きく異なるため、直接お寺に「他の方はどのくらいされていますか?」と確認しても失礼にはあたりません。

Q4. 戒名はいらない。付けない(俗名のまま)で葬儀や納骨はできますか?
A. 戒名をつけなくとも葬儀は出来ますが、お位牌を造ったりお盆に霊を迎えるという考え方は、仏教です。当院にも相談が多いのは、いらないと思って俗名で葬儀を行い、位牌を作った方からの相談です。仏教的な法要事を行わないのであれば、問題ありませんが、みなさんのお心が安心しないという方もあります。経済的にお困りであれば、戒名無料でお付けしておりますので、ご相談ください
俗名お葬式で成仏するんだろうか
戒名はいらないと思っていましたが、大切さがわかりました。
Q5. 宗派によって戒名のルールや呼び方は違いますか?
A. はい、異なります。例えば浄土真宗では「戒名」ではなく**「法名(ほうみょう)」、日蓮宗では「法号(ほうごう)」**と呼びます。また、構成文字や必ず入る漢字(「釋」や「妙」など)も宗派ごとに決まりがあります。
Q6. 自分で戒名を考えて付けることは可能ですか?戒名一覧について
A. 可能ですが、お寺(菩提寺)がある場合はおすすめしません。お寺の住職が授けるのが本来の形であるため、勝手に自作した名前では納骨や法要を拒否されるリスクがあります。どうしても使いたい漢字がある場合は、事前に住職に「相談」という形で伝えるのがスムーズです。
戒名を自分で付ける方法と一覧例
戒名を自分で付けても良いでしょうか?

Q7. 戒名の文字数には決まりがありますか?
A. 基本的な戒名(法号)は2文字ですが、その前後に付く「院号」「道号」「位号」を合わせると、一般的には6文字〜9文字前後になります。文字数が多いほどランクが高くなり、お布施の額も上がる傾向にあります。
Q8. 「生前戒名」をいただくメリットは何ですか?
A. 自分の納得いく漢字を選べることや、没後に親族が費用面で困らないことがメリットです。また、一般的に没後に授かるよりもお布施(費用)が抑えられるケースが多く、終活の一環として選ぶ方が増えています。
Q9. 夫婦で戒名のランクを合わせる必要はありますか?
A. 厳密な決まりはありませんが、夫婦で格を合わせるのが一般的です。例えば、夫が「居士」であれば妻は「大姉」とするのがバランスが良いとされます。片方だけが極端に高いランクにならないよう配慮することが多いです。
Q10. 菩提寺がない場合、どこで戒名を授かればよいですか?
A. 特定の付き合いがない場合は、葬儀社を通じて僧侶を紹介してもらうか、最近では「寺院手配サービス」などを利用して授かることも可能です。ただし、その後の納骨先(霊園など)が戒名を必要とするかどうか、事前に確認しておきましょう。
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