なぜ?戒名が高いのか?戒名とは何か?
平成25年 戒名って高い?安い?という本を日新報道さんより出版させていただきました。その後、各地にて講演に呼ばれ、戒名講座の内容を第2弾の本として出版いたしました。
令和6年5月24日 コープこうべ 兵庫県協同学苑にて開催された戒名講座を収録いたしました。
講座内では、自分の戒名を付ける方法をお話ししております。
しかし、なぜ?自分で戒名を付けたいのでしょうか?そもそも戒名とは何なのでしょうか?
戒名は付けるものでしょうか?死後の名前でしょうか?
この機会に、仏教とは?戒名とは?お考えいただければ幸いです。
戒名講座のアンケートは、大津本寿院のホームページにてご覧ください。
戒名料とは何か?
戒名講座の中で戒名はいると思いますか?要らないと思いますか?
と質問します。すると、半分ぐらいの方が「戒名はいらない!」とお答えになります
次に質問します。「なぜ?戒名がいらないのでしょうか?」
すると、「だって戒名料が高いじゃない。」「遺された遺族に費用を負担させたくない」
といった経済的な理由がほとんどです。
その時に必ず私が言う事は
「では、私が戒名を無料でお授けしましょう。どうですか?」
皆さん絶句されます。
なかなか、ではお願いしますといった声は今までありません。
実際に戒名の事を考えたときに、
「我が家の宗派は〇〇宗だから・・・」と突然宗派が気になります。
宗派にこだわる必要がないのになぜか?家の宗派を持ち出されるのです。
次に
タダ?ほど高いものはない。というように、無料といっていてもやはりいくらかお包みしないと失礼になる。
とお布施の事が気になります。
当院では、お布施の目安を3万円と明記させていただいております。
そうすると安くて安心だという声は多いものの、
「何か?罠があるのだろうか?」「あとで何か請求されるのでは?」「安くて心配だ」
安物買いの銭失い的な考えになる方もあります。
また、同じお寺関係者からは「戒名の安売りをするな!」というお叱りの声もいただいております。
なかなか難しいものです。
戒名は、商品でもありませんし、定価もなければ、原価もない。
文字をあわせただけで、100万円?
そうです。相場だけが先回りして、なぜその相場になったのか?
宿泊先のホテルをネットで比較して決めるように、同じホテルでも、こちらのサイトからなら1万円 あちらのサイトからなら2万円
とサイトによって金額が違う。といったものと同じように考えていないでしょうか?
戒名に関するお布施というもの。
根本的に考えてみてください。きっと戒名に関する疑問や疑念は払拭する事でしょう。
本当に戒名はいらないのでしょうか?
私は、戒名は100%必要であると考えております。
仏教徒となり仏弟子として歩んでいくために必ず必要なのです。
あの世の世界でも同じです。
御仏と結縁し、お浄土に導かれていくのです。
ですから、本人も浮かばれ成仏し、遺された遺族も安心するのです。
自分で戒名を考えてみませんか?実践戒名マニュアル
もっとおすすめが、夫婦で戒名をつけあってみることです。
新しいご主人の奥様の一面が発見できますよ。
実際に戒名を考えるうえで、その「戒名マニュアル」をお話しします。
まず戒名は、2文字です。
○○院 □□ ◆◆ △△
院号 道号 戒名 位号
それでは、まず、得度(出家)したつもりで2文字の「戒名」を考えて見ましょう。
俗名から一字を使って、もう一字を、尊敬する人からいただいてはいかがでしょう。
尊敬する人がなければ、御仏や経典からでも構いません。
大日如来であれば、「照」
地蔵菩薩であれば「宝」
阿弥陀如来であれば「慈」など
真言の教えが好きな方は「真」
浄土の教えが好きな方は「浄」
法華経の教えが好きな方は「妙」「法」
最澄さんが好きな方は「澄」
空海さんが好きな方は「空」
栄西さんが好きな方は「栄」
道元さんが好きな方は「道」
法然さんが好きな方は「然」
蓮如親鸞さんが好きな方は「蓮」
日蓮さんが好きな方は「日」
寂聴さんが好きな方は「寂」でもいいでしょう。
華道や茶道・日本舞踊など、師匠の一字を頂戴するのも同じであります。
ただ、師匠から弟子へと血脈がつながるのが戒名であります。
どこの誰から、戒を授かっているのか?ということがとても大切になります。
尊敬するというのもいいでしょうが、血脈を考えるのであれば、住職の名前から一字を頂戴するのもいいでしょう。
浄土真宗では、戒律が無いため、戒名といわず、法名といいます。 この2文字が法名となります。
そしてお釈迦様の弟子である釈○○ と3文字の法名となります。
戒名が決まれば、次は、道号です。
道号は、その方の性格や悟りの境地が表されています。
有名なところであれば、とんちで有名な、一休さんです。
正式には一休宗純。 “ひとやすみ ひと休み”のとんちの一休さんは道号で、その方の悟りの境地でもあります。
仕事一筋に生きてきた方もあれば、ゴルフや囲碁といった趣味を熱心にされてきた人。
愛情一杯の方や頑固者などなど
例えば、まじめな方であれば「誠岳」
料理や職人といった専門職を貫いてきた方は「精覚」
家族を温かく迎え自宅を守ってきた専業主婦には「温室」。
優しい方であれば、「優雲」
服飾・美容関係の方であれば、「清心」
花が好きな人は「妙華」
成績が抜群の方であれば「賢徳」など
浄土宗では、「誉」号といわれ、浄土宗の第五祖 定慧上人が「良誉」と号されたのが最初であり、五重相伝を受けた者だけに授与される称号とされています。
また西山浄土宗では、法然上人が「厳空」と称されたのにならって、授戒を受けた信者んい限って「○空」と法号を授与され、5日間にわたって行われる五重相伝という儀式を終えた信者には「○道」という法号が授与されるのが通例となっているようです。
時宗であれば、男性には「○阿」女性には「○弌」を授与されるのですが、宗祖上人の「自阿」遊行上人の「他阿」そのほか「法阿」「浄阿」「国阿」などは濫りに付けてはならないとされていようです。
有名人の戒名を見ていくと、それなりにぴったりな気がします。
- 大光院力道日源居士 力道山
- 陽光院天真寛裕大居士 石原裕次郎
- 花香院麗風妙舞大姉 大原麗子
- 大雲院雷蔵法眼日浄居士 市川雷蔵
- 秀岳宗光禅定門 明智光秀
- 満寿院叡彩心酔大居士 池田満寿夫
- 石森院漫徳章現居士 石森章太郎
- 峰雲院文華法徳日靖居士 井上 靖
- 也風流庵大拙居士 鈴木大拙
- 慈照院和道法郎居士 坂上二郎
- 竹久亭夢生楽園居士 竹久夢二
- 安楽寿院功誉文林徳潤居士 谷崎潤一郎
そして院号です。
院号は、その昔、退位された天皇が住まれる宮殿を意味していました。
「嵯峨院」や「後白河院」などがそうです。ですから、一寺を建立したというほど、仏教に深く帰依したという意味もこめられています。
俗に「いい戒名」「立派な戒名」といわれる「院号」は、世の中の為に一生懸命尽くされた方に贈られるものであって、誰でもが授かれるものではないと考えております。
まだ、そうでないのであれば、これを機に一生懸命ご精進なさって下さい
そこで、あなたがもし、お寺を建ててたくさんの方がそこに救いを求めて御参りにこられると仮定してみてください。何というお寺を建てますか?
観音様を中心として優しいお寺ならば「観音院」
人の悲しみを受け入れる悩み相談のお寺であれば「慈音院」
お医者さんやボランティアなど社会の為に尽くしているお寺であれば「慈恵院」
先日、生前戒名を自分で作ったので見て欲しいという相談がありました。
その方は、様々な学問を修められているので「廣修院」という院号を考えてこられました。
漢字を見ると、立派な院号のように感じますが、呼んでみると「こうしゅういん」この「こうしゅう」から連想される漢字。
まずは、公衆便所の「公衆」もしくは「口臭」どちらにしてもにおってきそうではありませんか?悪くはありませんが、そのように気になることもあります。
有名人の戒名を見ると、美空ひばりさんは「慈唱院」です。ぴったりだとは思えませんか?
- 安国院殿徳蓮社崇誉道和大居士 徳川家康
- 文献院古道漱石居士 夏目漱石
- 慈唱院美空日和清大姉 美空ひばり
- 智勝院幻城乱歩居士 江戸川乱歩
- 頌弦院智心碩豊居士 尾崎豊
- 笑輝院一道禅圓居士 岡八郎
- 天照院普遍日拳居士 緒方拳
- 宝楽院釋等照 植木等
- 邦光院殿賢徳道圓居士 板垣退助
- 瑞雲院法道日長居士 いかりや長介
- 廉正院端風聚幸大居士 青島幸男
- 乗法院越路妙華大姉 越地吹雪
- 大光院殿月山伝心大居士 真田幸村
- 文綵院大猷治通居士 太宰治
- 紫雲院殿政譽清浄晋寿大居士 安倍晋三元総理大臣
最後に位号です。
0歳 「水子(すいし)」
3歳位までの子供 「嬰子(えいじ)」・「嬰女(えいにょ)」
5歳位までの子供 「孩子(がいし)」・「孩女(がいにょ)」
15歳位までの子供 「童子(どうじ)」・「童女(どうにょ)」
成人
「信士(しんじ)」「信女(しんにょ)」
「清信士」「清信女」
「禅定門」「禅定尼」
「居士(こじ)」「大姉(だいし)」
「清居士」「清大姉」
「大居士」
経典から戒名を考える場合にふさわしい文字を列記しておきます。
観音経 「愛敬」「慧観」
法華経 「安明」「威徳」
寿量品 「願見」「久修」
神力品 「月明」「真浄」
阿弥陀経 「香光」「華徳」
無量寿経 「正覚」「正観」
金剛経 「清浄」「成忍」
遺教経 「寂然」「寂静」
職業から戒名を考える場合 参考となる文字を列記します。
農業関係 「久遠」「黄雲」
林業 「清岳」「涼樹」「深徳」
漁業 「大海」「天雲」「海潮」
技術者 「精山」「宝雲」「精雲」
電気・コンピューター 「明光」「妙光」
衣料 「香雲」「天衣」「紅紗」「清雅」
経営者 「清風」「智海」「栄雲」
会社員 「誠山」「誠岳」「誠雲」
料理関係 「味海」「精岳」「喜山」
公職・教育者 「英雲」「慈雲」
医療関係 「医徳」「方安」「慈恵」
福祉・ボランティア 「博雲」「慈雲」「一心」
警察・防衛 「永安」「護国」「保安」
政治家 「政徳」「靖岳」「恵和」
文筆・文学 「文泉」「智海」「文華」
音楽 「慈音」「法響」「雅雲」「楽天」
性格から戒名を考えるとこんな感じになります・
まじめな人 「誠心」「一心」「専山」「一月」
快活・さわやかな人 「快雲」「円応」「明岳」
剛健・豪放な人 「精雲」「勇心」「志雲」
道号に良く使われる文字は、実字といってこの世に存在する実際の風物を用いることが多くあります。
「庵」「雲」「英」「華」「岩」「軒」「山」
戒名に良く使われる文字
「安」「雲」「栄」「円」「応」
「華」「香」「佳」「観」「寛」
先祖の戒名を超えてはいけない。
先祖に院号がついているので、同じ院号で授かりたい。
又反対に、先祖に院号がついていないので、先祖を超えてはいけないという相談があります。
先祖と同じお墓に入るのであれば、同じような戒名がふさわしいでしょう。
しかし、新しくお墓を作られたのであれば、ご自分の思うままに為されても問題ありません。
この機会に、先祖の戒名を調べてみてはいかがでしょうか?
先祖の戒名を見ていくと、先祖の歩んできた道のりが何だか感じられるようになってきます。
そして最後にフリガナをつけて読んでみてください。
立川談志さんの戒名は
立川雲黒斎(うんこくさい)家元勝手居士
如何でしょうか?
法事の度に「うんこ臭いかってこじ」と読み上げられます。
よみがなの語呂を考えになってみてください。
戒名は、末代まで続く大切な法名(仏名)です。本当に納得できる戒名か?じっくりお考え下さい。
あくまで、私が考える戒名の付け方です。ご参考まで・・・
戒名を考えることは、命を見つめる事であると考えます。如何でしょう。
ただし、自分で考えた戒名は、ただのペンネームです。
授戒してはじめて戒名となります。
葬儀の時に、その戒名で「授戒」していただきましょう。
(もっとも、戒名は使えても、その葬儀の住職から授かりますので無料というわけにはいきません)
一番いいのが、生前のうちにお寺様から授かっておかれることです。
菩提寺やお知り合いのご住職に相談してみてください
ちなみに、いい?とか悪い?といった相談は、いつでも承ります。
しかし、正式に戒名をお授けする場合は、申し込みください。
戒名証にお書きして、ちゃんと正式に戒名をお授けします。
本寿院 三浦尊明
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